2023/03/19 10:48
「長崎は自給率低いからねぇ」
という友人の言葉に驚きました。
日本の食料自給率が四〇%を切ったとかいう話はニュースで聞いていましたが
県単位で公表されているとは知りませんでした。
検索してみると、農水省のHPに「都道府県別食料自給率」というコーナーを発見。
北海道 一九一%
秋田 一七八%
スゴイ!
軒並み百%越えです。
東京 一%
大阪 二%
都会とはいえあまりの数字。
では長崎はどうだろう。
四十六%?
肉も魚も野菜も豊富にとれるのに、こんなに低い訳がない。
納得できないので、翌日県庁に行って
「長崎の自給率の低さについて説明をうかがいたのですが」
と尋ねると、受付の女性は当惑顔。
自給率は農・水・畜の総合値ですが役所は縦割りでセクションが別れてしまうので
どこに案内すればよいのか迷ったのです。
結局、農政課という部署に通され課長さんから農業を中心に説明していただきました。
それでようやく自給率が低い理由が理解できたのです。
理由1
自給率はカロリーをベースにして計算されているため、葉モノ野菜がいくら沢山採れても数字にあまり反映しない。
長崎はジャガイモの産地ですが、それでも穀物にくらべると低カロリー。
だから米所の県は数値が高いのですね。
理由2
家畜のエサが輸入飼料の場合はカウントされない。
豚肉の場合、国内で飼育している頭数で計算すると五十二%なのですが
輸入飼料で育った豚は国産と見なされないので、それを差し引くと六%になってしまうのです。
長崎は輸入エサを使っているところが多いのでしょう。
農水省のHPに「自給率の計算式」が載っていました。
分子が「国内生産料」で分母が「国内生産料-輸出量+輸入量」。
この式だと、日本が鎖国して貿易をやめた途端、自給率は百%になります。
私が想像していた自給率
つまり国民に必要な食料が、国産でどれくらいまかなわれているのか
とは少しニュアンスが違いました。
国が言うところの自給率とは
「日本がどれくらい輸入に依存しているか」なのです。
2014年4月26日発行の『月刊てりとりぃ第50号(5月号)』に掲載されたテキストの再録です