2023/04/23 10:24

 最近アンティーク・コインに目覚め収集を始めました。

主にヤフオクで入手しているのですが、安くても二千円前後します。

「コンプリートまで何年かかることやら」と悩んでいたところ

静岡県の内田(仮名)さんから送ってきたオークション落札品のパッケージに

外国人の筆跡で「Utrecht」と書いてありました。

内田さんがユトレヒト(オランダ)で購入したものが転売されて私の手にあるわけです。

ならば、ユトレヒトでは幾らだったのだろう? 

ここで初めて「ebay」の存在に気がつき調べてみると…、

な、なんと私が購入した十分の一の価格で出品されているではないですか

それもフロム・ユトレヒト。

送料を入れても全然安い。

内田さん粗利率高すぎです!

私もebayに挑戦することを決めました。

直接オランダからコインをゲットするのです!

これはまさに大航海時代のヨーロッパ人と同じマインド。

ポルトガル・スペインの船がアジアに到達したことで「グローバル経済」が始まるのですが

彼らがなぜ命がけで海に出たかというと「スパイス」が欲しかったからです。

ヴェネチアで購入する場合、陸路で運ばれているから転売に継ぐ転売で価格が高い。

そこで海路を使って、直接アジアに買いに行ったわけですね。

でも、ポルトガルよりも商売上手だったのがオランダです。

十七世紀以降、鎖国した日本は西洋ではオランダとだけ「長崎出島」で貿易をおこなうのですが

その取引額はアジアの中で最高でした。

でも変ですよね、日本にスパイスはありません。

日本の主力商品は「銅」です。

日本で銅を手に入れたオランダはそれをインドへ持って行き綿織物に交換。

インド人は銅が欲しかったわけです。

それで今度はその綿織物を東南アジアの各地でスパイス・鹿皮・鮫皮に交換します。

スパイスはヨーロッパへ送られますが、鹿皮と鮫皮は長崎出島へ輸送されてまた銅に交換されるのです。

交換する度にどんどん利益があがっていく仕組み。

私もこのオランダ方式でお金持ちになろうかしら。

2014年12月27日発行の『月刊てりとりぃ第58号(1月号)』に掲載されたテキストの再録です