2023/06/09 10:44

 「蛭子能収」でネット検索すると

「クズ」

「ダメ人間」

などネガティブなワードが目につきます。

蛭子さんのテレビでの言動に対して芸人たちが面白可笑しく批評したり

問題発言をしている画像を一般の人がユーチューブなどにアップしたりしているのです。

それらを一つ一つ吟味してみたら、なんとなく「蛭子騒動」の実態が見えてきました。

例えば「テレビ出演する際、先輩の楽屋に挨拶にいかない不遜な奴」という意見があります。

これに対する蛭子さんの言い分はこう

「僕が挨拶に行くことによって、相手の貴重な時間を奪ってしまう」

蛭子さんは忙しいがゆえ、楽屋では(本職の)漫画を描いています。

そこに入れ替わり立ち代わり挨拶にこられると仕事にならないのですね。

「自分がされて嫌なことは相手にもしない(孔子)」

を実践しているわけです。

皆が指摘する「ダメ言動」には蛭子さんなりの「理由」と「主張」がありました。

蛭子さんが人生において一番大事にしているのは「自由」。

旅番組で食事するとき普通ならば「土地の名物」を注文するところを

蛭子さんは「カレー」など、自分が食べたいものを注文して顰蹙を買っています。

これも、事前にディレクターが

「名物を注文して欲しい」

と言えばそれに従うけれど、何も指示がないから好きなメニューを注文しているのだそうです。

蛭子さんのこういう「仕事観」って欧米人に近いような気がしませんか。

もしも、蛭子さんがアメリカで芸能活動していたら、このような目立ち方はしなかったかもしれません。

昨今の蛭子騒動、アメリカ的「個人主義」と日本的「集団主義」との

〝せめぎあい〟という視点で見ると合点がいきます。

よく自己啓発本に「自分の気持ちに正直に生きよう」なんて書いてありますが

それを下手に実行すると思わぬトラブルが発生することもある、これはよいサンプルなのです。

 最後に長崎豆知識を一つ。
蛭子さんと前回紹介した清水崑さんは、共に長崎市立商業学校を卒業しています。
2015年12月26日発行の『月刊てりとりぃ第70号(12月号)』に掲載されたテキストの再録です